チュムリアップ・スオ。こんにちは!
今回はカンボジアの有名なレストランのお話をします。
ホームページにも記載していますが、当店のシェフ、レスマイがカンボジアに住んでいた頃は「ロムデン」(Romdeng)というレストランに在籍していました。ここで料理人としての腕を磨き、シェフの一人として働くことになりました。
カンボジアの名店、その名物は——
「ロムデン」はカンボジアの首都プノンペンにある高級レストランで、伝統的なものから現代風アレンジまで幅広くそろえたカンボジア料理を提供しています。店名の由来はカンボジアで有名なしょうがの一種からきています。
お店は庭園と屋外プールを備えたフランス植民地時代の建物を再利用した、情緒あるものとなっており、その中で食事を楽しめます。
各種の旅行ガイドや評価サイトで多くの高い評価を得た、人気のレストランとなっています。
さて、ここまでだと何だか普通そうだと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、このレストランには一つ、名物料理があります。
それはタランチュラの素揚げです。カンボジアの昆虫料理の一つで、ここで食べることができます。
カンボジアの露店などでは他にも色々な種類の食用昆虫や昆虫料理が販売されています。昆虫食の詳しい話については、また別の機会にお話ししたいと思います。
ということで、味でも知名度でもインパクトでも国内外に名高いのが「ロムデン」というお店です。しかしこのレストランが評価されているのはそればかりではないのです。
カンボジアの若者が、カンボジアの未来をつくる
実はこのお店はカンボジアの青少年をサポートする施設でもあるのです。
ここを運営する組織は「フレンズ・インターナショナル」(Friends-International)というカンボジアで設立されたNGOです。目的はカンボジアで困窮する子供や若者たちの保護と支援で、この「ロムデン」の運営は彼らの職業技術訓練の場でもあるのです。彼らはここで実際に働き、収入を得ながら自立への道を模索していきます。
当店のシェフ、レスマイもトレーナーとして若いシェフを指導したことがあります。
カンボジアでは1970年代から1990年代まで続いた内戦により、未だに多くの人々が貧困に苦しんでいます。国は再建途上にあり、仕事はなかなか見つけにくいのが現状です。困窮した人々が、生活崩壊や犯罪に陥れば、それがさらなる貧困を呼び込んでしまいます。
そこで、カンボジアの次の世代を担う彼らを積極的に支援して少しでも悪循環を断ち切ろうとしています。
このNGOではカンボジアの青少年の自立のために「ロムデン」以外にも、様々な活動を行っています。
レストランの運営は「ロムデン」だけではなく「フレンズ・ザ・レストラン」(FRIENDS THE RESTAURANT)、「マラム」(MARUM)、「サンダン」(SANDAN)というお店があり、こちらも実習生が働いています。
また、調理の仕事だけでなく、美容、自動車整備、電気工事、縫製、溶接といった分野でも、実習生が働きつつ職業訓練を行うプログラムがあります。「ロムデン」も含めこれらの職場での収益は全て、この支援活動に還元されます。
さらに基本的な教育や、支援対象から離れて自立するためのキャリア形成のサポートとトレーニング。その他にも、ストリートチルドレンを始めとする不当に取り扱われている子供たちの保護、子供たちを取り巻く社会そのものへの啓発運動など幅広く活動しています。
最近はラオスやミャンマー、エチオピアといった、他の国でも活動を広げています。
いかがでしょうか?「ロムデン」や「フレンズ・インターナショナル」の活動に興味をお持ちいただけたら幸いです。
※2021年6月1日現在「ロムデン」はコロナ対応のため休業しています。
※写真:©Googleマップ、レスマイの写真は『From Spiders to Water Lilies』より、ロムデンの写真は「Tripadvisor」、フレンズ・インターナショナルWebサイトより
<参考文献> Gustav Auer『From Spiders to Water Lilies』Friends-International 2007