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カンボジアとヒンドゥー教 —インドとの深いかかわり—

 チュムリアップ・スオ。こんにちは!

 カンボジアは現在人口の9割を仏教徒で占める仏教国です。修行僧や寺院を見かけることは珍しいことではありません。

 カンボジアで最も有名な世界遺産アンコール・ワットも仏教寺院です。仏像も多く並べられ修行僧もいます。しかし、そこの壁画や彫刻には仏さまではなくなぜかヒンドゥー教の神々が彫られています。

 実はアンコール・ワットは元々、ヒンドゥー教の寺院として建設されたものです。建設された後に仏教寺院となり現在に至ります。

 カンボジアは古くからインドの影響を強く受けていた国です。2世紀頃にはインドとの交流があり、ヒンドゥー教も仏教もその交流の中からカンボジアに入ってきたものと考えられます。

 現在カンボジアにはヒンドゥー教徒はほとんどいませんが、かつては非常に強い勢力を誇っていたようです。カンボジアの遺跡だけでなく、古典文化や芸術の中にもその面影が息づいています。

 カンボジアの無形文化遺産に「宮廷舞踊」と「影絵芝居」というものが登録されています。これらはヒンドゥー教の神話と深いつながりがあります。

 「宮廷舞踊」はその名の通り宮廷で披露される踊りです。この踊りにおいて題材はいくつもあるのですが、「ラーマーヤナ」というヒンドゥー教の神話の中から題材をもらっていることがあります。その中で最も有名なのが「アプサラの踊り」です。ヒンドゥー教における水の精「アプサラ(※1)」を題材にした踊りです。「宮廷」の名に恥じず、上流階級の人々を中心に披露されてきましたが、現在では一般の人々でも見られるようになり、人気を博しています。

 「影絵芝居」は人形に後ろから光を当てて影をつくり、それをスクリーンに映して行われる劇です。仏教説話を始めとした他のお話もありますが、こちらも「ラーマーヤナ」から題材を選ぶことがあります。「影絵芝居」は民衆を中心に今も昔も愛されています。

 このようにお話しするとカンボジアのすべてがインドに影響されているように聞こえますが、そんなことはありません。カンボジアの人々の心情や社会生活、教訓、伝説、こう言ったものを題材とするものもあります。

 しかしながら、はるか古代から文明を持っていたインドの影響の大きさは計り知れません。

 カンボジアに古く伝わる民話を一つ皆様にご紹介したいと思います。それは知恵あるウサギの物語です。ウサギはカンボジアの民話によく登場し、その知恵を使って人間やトラ、ワニをやり込めて活躍します。

 現実のウサギは非力な存在でトラのような肉食動物によく食べられてしまいますが、物語のウサギはその逆をいきます。弱いものが強いものを打ち負かすというテーマは人気があるようです。

 さて、知恵あるウサギと聞くと日本においても有名な「因幡(いなば)の白ウサギ」のお話があります。途中でサメにケガをさせられてしまいますが、こちらも知恵を使ってサメをうまく利用しました。

 また「かちかち山」というお話においても、悪さをするタヌキを上手くだまして倒します。

 共通するのはウサギが知恵者という点です。偶然の一致と思うかもしれませんが、実はこの点についてもまたインドがかかわってきているようなのです。

 ということで今日のお話は一旦ここまで。次回を乞うご期待ください。

※1「アプサラ」はヒンドゥー教の神話に出てくる踊りの名手で、彼女の踊りは神に捧げられるものです。また人間と神を繋ぐ存在、つまり天女や天使のようなものだとも考えられています。

参考文献

上田広美 岡田知子(編著) 『カンボジアを知るための62章【第2版】』 明石書籍 2016年

高橋宏明 『カンボジアの民話世界』 めこん 2003年

『地球の歩き方 D22 アンコール・ワットとカンボジア 2020~2021年版』ダイヤモンド社 ダイヤモンド・ビッグ社 2019年

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