カンボジア料理 神楽坂 バイヨン

実は熟せずとも機は熟した-青パパイヤ-

 突然ですが皆さまはパパイヤをご存知でしょうか?
 パパイヤはラグビーボールのような形をした黄色いフルーツです。割ってみると中にはオレンジ色の果肉とたくさんの黒い種が詰まっています。果肉は甘くて、デザートにオススメです。今回はそんな南国のフルーツ、パパイヤについてご紹介します。
と、言いたいところですが、今回ご紹介するのは、青パパイヤという野菜についてです。

 “青”パパイヤはその名のとおり、熟していないパパイヤです。甘みはおろか、味もありません。しかしその点を利用して、野菜のように調理されます。
 実は東南アジアでは黄色く熟したパパイヤをフルーツとして食べるよりも、熟していない青パパイヤを料理に使って食べる方が多いのです。
 この青パパイヤの最大の魅力はその食感です。少し強めの歯ごたえがあり、サラダにするとその食感の良さがもっとも活かされます。
 パパイヤを使ったサラダは東南アジアでよく食べられており、その中でもタイの「ソムタム」が一番有名かと思います。
 レシピは国々や個人によって違いがありますが、酸味と辛味を混ぜた味付け(※1)に、エビ、ナッツ、数種の野菜を混ぜて作ります。パパイヤの強めの食感を噛み締めているうちにエビとナッツの味わいと酸っぱ辛い味付けがよく混ざり、口いっぱいに広がります。
 パパイヤサラダは当店のもっとも人気のメニューの一つです。前菜はもちろん、お酒のおつまみにも合います。ぜひご賞味ください(※2)。

青パパイヤパワーを日本に

 青パパイヤは東南アジアではメジャーな食材ですが、日本ではあまり知られてはいません。唯一の例外が沖縄です。1700年代初頭にはパパイヤを食べていたそうです。「パパイヤイリチー(パパイヤの炒め物)」「パパイヤしりしり(千切り炒め)」といったレシピもあります。また、奄美大島では味噌や醤油などに漬け込んだ「パパイヤ漬け」というものもあります。
 青パパイヤの特徴として育成のしやすさがあります。パパイヤに含まれるパパイン酵素が鳥や動物による被害を減らしてくれますし、パパイヤそのものも生命力が強い植物です。そのため最近では本州各地でも栽培農家が増えてきています。
 2021年現在の日本ではまだまだ有名とは言えませんが、これから流行、あるいはゴーヤのようにもっと一般に浸透にした野菜にならないかなと思っています。
 青パパイヤは便利な野菜だと思います。先ほどご紹介したようにサラダにするのが一番ですが、炒めものにしても食感が活きます。煮物にすればウリや大根、カブのようにとても柔らかく、味が染みておいしくなります。味としてクセがないのでカレーやポトフといった今までのレシピの中に加えてもOKです。
 日本では10月、11月が出回り期のようです。この頃にはスーパーでも見かけることがあるので、皆様もご家庭でいかがでしょうか。

ダイエット中の方にもパパイヤサラダ!

 またまた突然ですが、皆さまは空腹のときにたくさん食べたり、急いで食べたり、ということはないでしょうか。人は満腹感を得るためについつい食事の量を増やしてしまいがちですが、それは必ずしも満腹感を得るために必要なこととは限りません。
 人には満腹かどうかを判断する「満腹中枢」というものがあります。お腹に入った食べ物の量よりもこの脳の神経が刺激されたかどうかで満腹感は左右されます。この満腹中枢が刺激される前にたくさん食べてしまえば自然と食べる量は増えてしまいます。
 この満腹中枢を刺激するのに良い方法があります。それはよく噛むことです。噛む回数を増やし、ゆっくりと味わって食べることが暴飲暴食を防いでくれます。
 厚生労働省は「歯科保健と食育のあり方に関する検討会」が提唱する「噛ミング30運動」というものを推奨しています。これはその名のとおり食べ物を一口入れた際の噛む回数を30回にしようとする運動です。しかし一口で30回も噛むことを実践するのはなかなか難しいと厚生労働省も考えているようです。
 ですがパパイヤサラダならヘルシーな上に、その歯ごたえの良さから自然と噛む回数を増やしてくれます。ダイエット中の方にもそうでない方にも自信をもってオススメします。

 

※1 このパパイヤサラダは少し辛味を入れて味付けしています。カンボジア料理はあまり辛くないものが多いのですが、このサラダに関しては少しピリ辛です。もし辛味が苦手でしたらシェフにお申し付けください。

※2 青パパイヤの入荷状況によりましてはご提供できないときもございます。ご容赦ください。

参考文献

「農耕と園芸」 誠文堂新光社 2017年12月号(「露地で育つ青パパイヤは苗と土作りが決め手!」)

米本仁巳 「熱帯果樹の栽培―完熟果をつくる・楽しむ28種―」 農山漁村文化協会 2009年 

『七訂 食品成分表 2017』 女子栄養大学出版部 2017年

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