カンボジア料理 神楽坂 バイヨン

お正月は2、3度来るカンボジア

 チュムリアップ・スオ。こんにちは!
 本日はカンボジアのお正月を紹介したいと思います。
   
 カンボジアの祝日一覧を下にご用意しました。このカレンダーを見ていただきたいのです。1月1日に「インターナショナル・ニューイヤー」と書かれています。皆さんもご存じのお正月です。しかし「インターナショナル」と書いてあるのはなぜでしょうか?
 理由は簡単です。「インターナショナル」でないカンボジア独自のお正月があるからです。カレンダーの4月の「カンボジア正月」がそれにあたります。なんとカンボジアにはお正月が2回も来るのです。
    
 この「カンボジア正月」はカンボジアで古くから使われてきた暦である「太陰太陽暦」にもとづいたお正月です。現在、日本でもカンボジアでも使われているインターナショナルな暦は「グレゴリオ暦(太陽暦)」です。
     
 伝統的な祝日に関しては現在も「太陰太陽暦」にもとづいて決められていますので、日付にズレがあり、年によって日付が変わってしまうのです。
    
 カンボジア正月が行われる4月は農閑期にあたります。これを過ぎると田植えの時期になります。なので一年の始まりであるお正月のお祭りには豊作を祈願する催しがいくつか行われます。
    
 またカンボジアの新年には女神がやってくるという伝説があります。この女神たちは七姉妹で、一年ごとに交代で切り取られた父の首を管理する役目を担っています。この首は女神たちが所持していなければ、この世に災いをもたらす恐ろしいものです。そこでお正月はその役目を交代するために女神が降りてくるのです。女神をお迎えするために大掃除をして、新しい衣服を着て、お供え物を用意しなくてはなりません。
   
 カンボジアの話と同じようなお話がタイのソンクラーン(タイの旧正月)にも伝わっています。以下、詳しい資料からの引用です。

 ソンクラーンについて、タイでは次のような説話が伝えられている。

  
 昔、大富豪の息子でタンマバーラクマーンという名の若者がいた。彼は若くして各種の学問に秀で、人々から師と尊敬されていた。この若者の評判を聞いたブラーフマ神は、知恵比べをするために、天界から降りてきて彼に謎かけをした。「人間はそれぞれ自らの星(星座)を持つというが、この星は朝にはどこに宿り、昼にはどこに宿り、夜にはどこに宿るのか」。そしてブラーフマ神は若者に、「もしこの謎に答えられなければ、お前の首を切り落とす。もし見事に答えられれば私の首を切り落としお前に与えよう」と告げた。若者が七日後に答えると約束すると、ブラーフマ神はその場を去っていった。家に帰った若者は謎について考えたが答えは分からず、日はどんどん過ぎていった。六日目になっても答えの分からない彼は、首を切り落され殺されるよりは誰も知らない所で死のうと考え、家を出てある椰子の木の陰に寝転がり途方に暮れていた。しばらくすると、木の上に巣を作っていた夫婦の鷹の会話が聞こえてきた。雌鷹が明日の食べもののことで雄鷹に相談すると、雄鷹は「心配しないでよい。明日には謎かけに答えられない人間が殺されるので、人間の肉を食べることができる」と答え、さらに謎かけの内容とその答えを雌鷹に教えた。「朝には人間の星は顔に宿っているなぜなら、人間は朝起きると顔を洗うからだ。昼には胸に宿っている。なぜなら人間は昼に水浴し、胸を洗い、粉をつけるからだ。夜には足に宿っている。人間は寝る前に足を洗ってから寝床に入るからだ」。


 鷹夫婦の会話から答えを知った若者は家に戻り、ブラーフマ神がやってくるのを待った。翌日、若者は天界から降りてきたブラーフマ神に謎かけの正解を答え、知恵比べに勝つことができた。知恵比べに負けたブラーフマ神は7人の娘と天界の神々を呼び出し、次のように告げて、約束通り自らの首を切り落とした。「私の切り落とされた首を、もし地上に置くならばその炎によって地上は焼き尽くされ、天空に持って行けば雨が降らず干魃となり、もし海に持って行けば海水が干上るであろう。」

 
 切り落とされた首は七人姉妹の長女に渡された。父親の首を掲げた長女は神々を従え世界の中心にそびえ立つ須弥山(メール山)を回った後に、カイラス山の洞窟に首を安置し、供物を捧げ灌水を行い洗い清めた。このとき以来、毎年新年には七人の娘のうちの一人が交代で天界から降りてきて、ブラーフマ神の首を洞窟から取り出し、須弥山を回ることとなった。年毎に交代で天界から降りてくる娘は「ソンクラーンの娘」と呼ばれている。 
この説話ではブラーフマ神の首とは太陽のことであり、その首が娘の一人に掲げられて須弥山を回ることは、新年とは太陽の新たな周回を表していることがわかる。また、水によってブラーフマ神の首を洗い清めたことはソンクラーンの水かけの由縁を示している。


 (『月刊しにか1999年1月号特集◎アジアのお正月・新年の祭りと民俗』大修館書店「タイ」村上忠良p47・p48より引用)

 タイのお正月に行われる水かけ祭りは国際的にも有名です。しかしカンボジアでも水かけ祭りや木の実を投げるゲームなど様々な催しを行っています。そして両国ともに仏像や僧侶にお布施や祈りを捧げてお正月を迎えます。
ということで、カンボジアではグレゴリオ暦にもとづいたお正月と、太陰太陽暦に基づいた伝統的なお正月という2つのお正月があるのです。
   
 と、思いきや、こちらのカレンダーには書かれていませんが、2月に中国の暦の上でのお正月と言われる春節があります。公的な休日ではないものの、中国系の人々が休業、休学してしまうため実質的な祝日になっているようです。
   
 またお隣ベトナムもこの時期に「テト」といわれるベトナムのお正月をお祝いします。魔除けとして爆竹を鳴らすことで有名です。
   
 日本ではお正月に年神様が来るようにカンボジアでは女神様が来ます。1年の始まりにはその国の宗教や伝説、神話が関わってくることがあります。また暦はその国の生活とも深くかかわっており、日本もカンボジアもグレゴリオ暦が公用になるまでは旧暦を使って暮らしていました。カンボジア、ベトナム、タイ、中国のように今でも旧暦でのお正月を大事にしているところも多いようです。
    
 現在公用となっているグレゴリオ暦のグレゴリオとはかつてのローマ教皇グレゴリウス13世のことです。キリスト教国の影響の強いカレンダーだとも思います。
    
カンボジアに3度もお正月が来るのは様々な国との関わりがあったからこそだと思っています。

2022年のカンボジア祝祭日カレンダー

1月1日インターナショナル・ニューイヤー
1月7日虐殺政権からの解放の日
3月8日国際女性の日
4月14日~16日カンボジア正月※
5月1日国際労働者の日(メーデー)
5月14日シハモニ国王誕生日
5月15日ピサック・ボーチャー祭(仏陀生誕記念日)※
5月19日王室始耕祭※
6月18日モニック前王妃誕生日
9月24日憲法記念日
9月24日~26日プチュン・バン(お盆)※
10月15日シハヌーク前国王崩御の日
10月29日シハモニ国王即位記念日
11月7日~9日水祭り※
11月9日独立記念日

※太陰太陽暦について解説

 太陰暦とは月の満ち欠け、つまり1月を約30日として数え、それが12回で1周期、つまり1年とする暦です。太陽暦(グレゴリオ暦は太陽暦の1つ)は1年が365日、つまり太陽が1公転で1年とする暦です。ただし太陰暦にも太陽暦にもズレがあり、研究の結果、修正されていきました。これによって太陰暦は太陽暦の要素を付け加えた「太陰太陽暦」となりました。

<参考文献>
ウィリアム・D・クランプ/澤田治美監/石川久美子・大塚典子・児玉敦子訳『世界のお正月百科事典』柊風舎 2018年
上田広美・岡田知子『カンボジアを知るための62章』明石書店 2012年

カンボジアのお正月
カンボジアのお正月風景とお正月の供物(バイヨン)

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